電子回路の動作をコンピュータを使って調べる
〜試作からシミュレータへ〜
☆電子回路とは
トランジスタや抵抗、コンデンサといった電子部品をつなぎ合わせたものを電子回路と呼びます。
電子部品をどのようにつなぎ合わせるか、抵抗の 抵抗値やコンデンサの容量値をいくらにするかによって、いろんな電子回路を作り出すことができます。
テレビ、ラジオや電話機、オーディオ 装置(ステレオ)、コンピュータなどは電子回路の一例です。
☆電子回路の設計
電子回路を作るときには、まず電子部品のつなぎ合わせ方(専門用語では回路トポロジと言います)を決め、次に抵抗値や容量値といった各電子部品の値 (素子値と言います)を決めなければなりません。
回路トポロジを決めることはとても難しい問題であり、最も優れた回路トポロジをコンピュータを使って自動的に決めることは、今はまだできません。
現在は人間の経験に基づいて回路トポロジを決めています。
回路トポロジを決めたら素子値を決めますが、素子値は比較的簡単に決めることができ、コンピュータを使って自動的に素子値を決める方法も考案されています。
☆電子回路シミュレータ
電子回路の使用目的によっては、精密な素子値を 自動的に決めることができない回路トポロジを用いることもあります。
その場合は、電子回路を実際に製作し、電源につないで電子回路を動作させ、電子回路内部の電圧、電流などを測定します。
測定結果から素子値が正しいか否かを判断し、正しい値でなければ電子回路中の素子を正しい素子値の素子につけ替えてまた測定するということを繰り返します。
しかし、これはとても時間のかかる大変な作業です。
そこで、電子回路の動作をコンピュータ上でまねする プログラムが開発されました。これを電子回路シミュレータと呼びます。
電子回路シミュレータを使えば、実際に電子回路を製作しなくても電子回路を動作させたときの電圧、電流を知ることができます。
また、素子値の変更は、コンピュータプログラムの中のデータを書き換えるだけなので簡単です。
☆電子回路とシミュレータを比べてみよう
右図の電子回路は、 小さなランプ(発光ダイオード)がピカリピカリと点滅します。
この電子回路について、実際の動作と、電子回路シミュレータによる「まね」を比べてみましょう。
まずは、電子回路に電池をつないで、発光ダイオードの点滅の時間間隔を計りましょう。
例えば10秒間に何回点滅するかを数えれば、簡単な計算で点滅の時間間隔が分かります。
次に、コンピュータを操作して、電子回路シミュレータを動かします。 電子回路の抵抗値や容量値といった素子値を入力して、シミュレーションを実行しましょう。 実際に調べた時間間隔と、コンピュータが計算した時間間隔を比べてみましょう。結果は、どうなるかな?

実行↓
☆電子回路シミュレータを作る
電子回路シミュレータを利用すると、実際に電子回路を試作することなく電子回路の素子値を求めることができます。
しかし、こうして求めた素子値を使って製作した電子回路は、本当に希望どおりの正しい動作をするのでしょうか?
それは、電子回路シミュレータが実際の電子回路の中で起きているあらゆる現象をいかに正確にまねできるかにかかっています。
シミュレータが電子回路の動作を正確にまねできれば、実際に製作した電子回路は希望どおりの動作をします。
ところが、電子回路を正確にまねすることはとても難しく、計算の速いコンピュータを使っても長い時間がかかります。 実際に電子回路を製作し、測定を行い、素子をつけ替えるといった時間よりも電子回路シミュレータが動いている時間の方が長くては、電子回路シミュレータを使う意味は薄れてしまいます。
電子回路の動作を正確に精度良く、かつ短い時間でまねする電子回路シミュレータを作ることは、重要な研究テーマです。