球雷放電を用いた水処理

近年では、廃水が水中の生態系に対して影響を及ぼしていることが問題視されています。この廃水に含まれる難分解性有害有機物を処理するため、球雷放電という放電方法を用いて実験を進めています。球雷とは雷雨の際にみられる現象であり、未だに解明されていない現象です。この放電は長寿命、大容積という特徴があります。また処理に必要な活性種のOHラジカルを発生させる放電方法として知られており、従来の方法に比べて処理量の増大が期待されています。

1.原理

図1に、球雷放電発生装置の概要図を示します。商用電源からトランスを用いて昇圧し、コンデンサで充電します。充電電圧 Vc が任意の電圧に達した後、IGBTスイッチをオンにすることで電流制限抵抗に電流が流れ、電極の上部から球雷放電が発生します。図2は、実際に観測した球雷放電の写真です。

図1 球雷放電発生装置概要図

図2 左図:実際の球雷放電(酢酸溶液の場合:溶液の導電率が高い場合)

  右図:球雷放電(食塩溶液の場合:電極間距離も狭め、放電電流がさらに大きい場合)

2.電圧電流波形と分光波形の測定

球雷放電を発生させたときの電圧電流波形を図3に示します。電圧が上昇すると、電流が流れ始めることから、放電が発生していることがわかります。図4は、球雷放電の発光を分光した結果です。発光を波長ごとに観察することでOHラジカル(310nm)が発生していることが分かりました。

図3 電圧電流波形

図4 分光波形

3.今後の予定

・酢酸の効率的な処理方法の確立

・球雷放電のガス処理への応用

Comments

Comment: 
  • 球雷の写真ー>酢酸のではなく、水道水やICの場合に変更(この次の電流、電圧波形は酢酸のものではないですよね)
  • 分光の図、代表的なピークの発光種を付記
  • 今後の予定の「ガス処理」は???