真空遮断機,ヒューズによる大電流制御技術の開発

概要

     現在、真空遮断器は、配電用の遮断器として広く利用されている。また、地球温暖化ガスを使用していないことにより、真空遮断器の更なる適用範囲の拡大が望まれている。そのためには、真空遮断器の高電圧化・大容量化が必要である。真空遮断器の大容量化には、特に電流遮断時の真空アーク現象の解明が必要である。本研究では、東京電機大学、琉球大学と共同で真空アーク現象の基礎研究を行っている。一方、将来のエネルギー源として期待されている核融合炉の運転には、プラズマを着火するために大電流の制御(通電、遮断)が必要である。その制御のために真空遮断器が用いられているが、これらの真空遮断器には、電極が溶着せずに多頻度の通電・遮断を繰り返すことのできるものが必要である。電極の溶着防止には、電極の温度上昇を抑制すればよく、本研究室ではヒートパイプを利用した大電流通電時の電極の温度上昇に関する研究を行っている。

 

供試真空遮断器

    供試真空遮断器は、真空チャンバー、導体、空気シリンダーより構成されている。14000μFのコンデンサバンクに最大7500Vを充電することにより、68000Aの交流電流が通電できる。供試真空遮断器の本体である真空チャンバーはICF152付セラミック絶縁筒とステンレス鋼製真空容器からなり、その排気はターボ分子ポンプによって行われる。最高到達圧力は8.5×10 Paである。電極接点部分は真空用の観測窓を通して外部から観察することができる。上側の電流導入軸は径が36φの無酸素銅製であり、この電流導入軸がICF70フランジにロー付けされている。下側の軸も無酸素銅製で径は36φであり、溶接べローズを介してICF114フランジに取り付けられている。長さは上側導入軸の1/3になっており、上下で非対称になっている。空気シリンダーは下側可動軸に取り付けられており、0.5Mpaの空気圧を加えることで下部電極を上下運動させ、閉・開極動作を制御する。